中国医薬学(中医学)では、人体は五臓(肝・心・脾・肺・腎)を中心としてバランスを保ちながら生理機能を統一させていると考えられています。
五臓の心の機能は、西洋医学でいう心臓という臓器そのもの指す言葉とは異なり、機能全般を指しています。
心は五行(木・火・土・金・水)の「火」に属しています。火の属性は熱・炎上・明快という特徴があり、夏はこの「火」の属性が一番強くなる季節でもあります。五臓の心は火に属し、夏によく働き「火臓」とも言われています。夏はその暑さに合わせて身体も熱くなり、新陳代謝が一番旺盛な季節とも言えます。
心の生理機能
〇 血脈 (気血の運行通路である脈管のこと)を司る。 →心臓の拍動により血液と気を全身に運びます。「気の推動作用(血と津液を全身へ運ぶ)」とはこの働きを指しています。血流や血量の調整・脈管の動きもこの働きの中に含まれます。
※血=血と営養全般。津液=体に必要な潤い成分。
〇 神志 (神明とも言う。1.顔色・視線・言語・反応などの体表に表れる生命活動。2.精神・意識・思惟活動)を司る。 →神志は脳の働き全般と言えます。環境や出来事からの刺激は心が受けると言われており、心の「血脈を司る」働きが正常であれば「神志を司る」働きも正常に保たれます。
※思惟 →深く思考する。
〇 顔 ~ 華(輝き。つや。臓の状態が分かる部位)が顔に現れる。→顔には脈管が多くあり、心機能の良し悪しが顔色から見てとる事ができます。
〇 舌に開竅(見る事が出来ない臓器が目で見える器官と繋がっていること)します。=心と舌は経絡を通じて繋がっている。→ 舌の動き(言語・音声にも表れる)・舌の色(舌には血脈が豊富)で心機能の状態を見ることができます。
〇 汗 ~ 五液のうち、液体は汗。汗は血・津液から生まれ、「汗血同源」と言われています。また、「汗は心の液体」とも言われています。
〇 喜 ~ 五志のうち、情志(感情)は喜。心は「喜ぶ」ことにより血脈の巡りが良くなるとされています。
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