中国医薬学(中医学)では、人体は五臓(肝・心・脾・肺・腎)を中心としてバランスを保ちながら生理機能を統一させていると考えられています。
五臓の肝の機能は、西洋医学でいう肝臓という臓器そのもの指す言葉とは異なり、機能全般を指しています。
肝は五行(木・火・土・金・水)の「木」に属しています。木の属性は成長・発散・柔軟・伸びるという特徴があり、春はこの「木」の属性が一番活発に働く季節でもあります。それと同時に、春は肝も活発になる季節であり、肝という臓は鬱状態を嫌い木の属性である伸びやかな状態を好みます。
肝の生理機能
〇 疏泄(気の巡りを全身に巡らせ調整する作用)を司ります。疏肝とも言います。→精神・情緒の安定を維持します。気機(気の運動）をスムーズに巡らせることにより、気・血・水・臓腑・消化吸収機能・性機能の働きを正常に保ちます。
〇 蔵血(血液の貯蔵・血量の調節)を司ります。→ 血液の貯蔵により肝の働きが異常に亢進することを防ぎます。血量の調節により安静時と運動時の血量の調節が行え、必要部位に営養を送ることができます。
〇 筋を司る。→関節の動きを円滑にします。
〇 目に開竅(見る事が出来ない臓器が目で見える器官と繋がっていること)します。＝肝と目は繋がっている。→ 肝血の滋養、肝気のに疏泄より目を営養し、視覚が良好となります。
〇 爪 ~ 華(輝き。つや。臓の状態が分かる部位)が爪に現れる。→ 爪は筋の余りといわれており、肝血が不足すると爪につやが無くなり、割れやすくなります。
〇 涙 ~ 五液のうち、液体は涙。肝の血液・肝の精により化生(別の物質に変化)される液体として、目を潤し保護しています。
〇 怒 ~ 五志のうち、情志(感情)は怒。肝の気の流れが悪くなると、怒りに繋がります。また、適度な怒りは肝気の上昇・発散を助けますが、怒りが強すぎたり、鬱積が過ぎると肝を傷めます。
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