六淫邪気とは、外から侵入する邪気であり、外邪と言います。外邪は六淫邪気の他に疫癘邪気と言われるものがあり、強烈な伝染性と毒性のある邪気であり、流行性であるのも特徴です。
ここでは、六淫邪気についての説明になりますが、六淫邪気は外邪であり、外因(皮膚・毛穴・鼻・口から侵入する邪気)にあたります。
外因に対して内因(情緒の変動によって発生した疾病原因)があり、ここでも六淫邪気に似た症状が出る事があります。しかし、内因の邪気は身体の内側から発生した邪気であり、ここでの六淫邪気とは区別されます。
例:外風 ⇒ 六淫邪気の風邪。自然界から身体に侵入したもの。
内風 ⇒ 内因から発生した風邪。六淫(外邪)の風邪に似た症状。症状のほとんどが肝と関係している。
その他、外因にも内因にも区別されない不内外因があります。
六淫邪気 | 季節 | 特徴 |
風邪 (陽邪) | 春 | 軽揚開泄(軽く揚がって上昇し、発散して汗が漏れ出る)。身体の上半身と肝を傷める。 百病之長(風は一年中吹いており、よく他の邪気と一緒に身体に侵入する)。 善行(病位が不固定で移動する) 数変(病状に変化が多く、進行が速い)⇒症状に遊動性がある。 風性主動(病状が不定。眩暈、震え、痺れ、麻痺、痙攣などがある)。 症状 ⇒ 熱・くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・咽喉痒痛・咳・のぼせ・頭痛・顔のむくみ・目やに・目の充血・体の痙攣・皮膚が痒い 立法(治療法) ⇒ 辛涼解表 (辛味と涼性のもので発散させる) |
暑邪 (陽邪) | 夏 | 炎熱、上昇、発散。気・血・津液を傷つけやすい。 湿邪と一緒に身体に侵入することが多い。 症状 ⇒ 発熱・顔赤・煩躁()・多汗・脈が洪大(大きいこと)・喉の渇き・多飲・尿少・息切れ・脱力・心悸・夏バテ ※暑邪は自然界にだけ存在している邪気で、内暑など身体の内側から発生しない。 立法(治療法) ⇒ 清熱解暑 (暑邪による熱を取る) |
火邪 (陽邪) | 夏 | 神明(精神・意識・思惟活動)を犯す。=心の神志を司る働きを乱す。 生風動血(熱により肝陰を消耗。筋脈を滋養できなくなり四肢の痙攣や出血を起こす。) 吹きもののができやすくなる(火邪が血に侵入し、血・筋肉を腐蝕)。 症状 ⇒ 高熱・顔赤・多汗・煩躁()・不眠・譫言(うわごと)・喉の渇き・多飲・息切れ・脱力・尿少・便秘・四肢痙攣・麻痺・出血・痒み・吹き出もの 立法(治療法) ⇒ 清熱瀉火 (熱を取り除き、火熱症状を鎮める) |
湿邪 (陰邪) | 梅雨(長夏) | 陽気を傷め気機の運行が悪くなる。 脾を傷める。 重濁性がある。 粘滞性がある。 重い症状。さっぱりしない症状。湿疹。分泌物が汚い。 疾病の経過が長い。 下半身の症状が多い。 症状 ⇒ 胸悶(胸の痞え)・食欲不振・吐き気・嘔吐・膨満感・下痢・むくみ・頭が重たい・身体のだるさ、重たさ・筋肉の麻痺・湿疹・排尿しにくい 立法(治療法) ⇒ 行気燥湿 (気を巡らし、湿を乾燥させる) 芳香化湿 (香りにより湿を散らす) |
燥邪 (陽邪) | 秋 | 乾燥性。津液と肺を傷付けやすい。 症状 ⇒ 鼻や口の乾燥・咽喉疼痛・喉の渇き・髪の毛、皮膚の乾燥・尿少・便秘・咳嗽・痰が少ない・無痰・痰の中に血が混じる・喘息・胸痛・鼻血 立法(治療法) ⇒ 潤肺生津 (肺を潤し、津液を生じさせる) |
寒邪 (陰邪) | 冬 | 陽気を傷付けやすい。冷えの症状。腎を傷めやすい。凝滞性(気血が阻滞不通)→疼痛。収引性(体内の気機が阻滞して不通)→痙攣。 症状 ⇒ 悪寒(寒気があり、温めても良くならない症状)・悪風(風にあたると寒気を感じ、風を避けたがる症状)・発熱・冷え・下痢・頭痛・胸痛・体痛・腹痛・四肢痛・関節の疼痛・足腰の痛み・四肢の屈伸がしにくい・咳・喘息・眩暈・足の痙攣 立法(治療法) ⇒ 辛温解表 (辛味と温性のもので発散させる) 温経散寒 (経絡を温め、寒邪を散らす) |
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