季節の薬膳の特徴「春」

中医学・薬膳の話

2月4日頃 ~ 5月4日頃 (2月の立春 から 5月の立夏前日まで)  

含まれる節季:立春(りっしゅん) 雨水(うすい) 啓蟄(けいちつ) 春分(しゅんぶん) 清明(せいめい) 穀雨(こくう) 二十四節季(下記※1)

 春になると暖かい風が吹きはじめ、陽気が次第に強くなり、新緑が芽吹く季節に入ってきます。眠っていた身体も陽気で柔らかさを取り戻しはじめます。

 春は肝の働きが活発になる季節で、精神活動や情動が活発になり、興奮した状態になりやすい季節です。

 こういった興奮状態は、脾や胃などの消化機能にも影響するので、怒りに気を付け肝の抑鬱を発散させることが何より重要になってきます。

 朝は早起きして、身体の中の陽気の生長を促すよう努めましょう。

 そして、春は酸味のあるものを摂ると良いです。酸味は肝に一番入りやすく働きを助けてくれる味とされています。

 その反面、酸味には収斂(引き締める)・固める作用があり、陽気の生長や発散を抑えてしまう効果もあります。使い過ぎに注意しましょう。

 健康で身体の丈夫な人や気が高ぶりやすい、怒りっぽい人はそれほど気にしなくても構いませんが、冷え性の人や虚弱体質などは酸味を控えて下さい。

酸味の作用収斂しゅうれん(引き締める効果)。固渋こじゅう(引き締め固める効果)。生津しょうしん(津液しんえきを生じさせること)。
酸味の食忌(食禁)冷え性・虚弱体質・気滞きたい(気鬱きうつ)・痰湿たんしつ(体の中に余剰水分からなる汚水が溜まっている状態)・瘀血おけつ(血の流れのとどこおり。出血含む。)

春の養生のテーマ:肝 と 風 を意識すると良いです。

 春は陰陽消長が入れ替わる時期で、春分前は辛温解表しんおんげひょう(辛味と温性の発散作用がある食薬で発汗し、体表の風寒邪気を取り除く)、春分後は辛涼解表しんりょうげひょう(辛味と涼性の発散作用がある食薬で発汗し、体表の風熱邪気を取り除く)を意識して立膳すると良いです。春分は3月中頃ですが、春分の日は毎年3月20日か21日なので立膳する上で目安にされるといいと思います。

 春は風邪ふうじゃにかかりやすい季節となっています。

春に用いると良い食材

 発散効果 → 紫蘇、生姜、長葱、みょうが、三つ葉、薄荷 

 清熱効果 → トマト、きゅうり、セロリ、豆腐、茶葉

 脾や胃などの消化機能を増強する(気を補う)効果 お米 鶏肉、牛肉、キャベツ、長芋、じゃがいも、南瓜、蜂蜜

肝の働きを助ける(補血)効果  葡萄、にんじん、ほうれん草、落花生、イカ、タコ

※1 二十四節季(にじゅうしせっき) ~ 太陽が地球を一周する日数を二十四等分にし、その分けた時期に季節の特徴を表す名前を付けたもの。古代中国で農作業の目安として使われ、季節をよりわかりやすくするよう作られました。

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